相手の目を見て話す話をするとき、相手の目を見ることに注意を払う。 完全に目を逸らしてはいけないが、じっと睨みつけてもいけない。 適切な視線を保つには、常に視線への注意を要するのである。 相手の話す内容を理解しようと頭を使う。 自分はどのように話そうかと頭を使う。 すると視線に対する注意が薄れおかしな方向を見ることになってしまう。 相手の目は見ない。 逆に相手の目を見すぎて睨みつけているようになってしまうことも あるだろう。 同時に複数のことに注意を払えないという例である。 自閉スペクトラム症の人は、一般に、相手の目を見て話すことが 苦手だと言われているが、 他者と話すときは適切に相手の目を見ないといけない、 ということはわかっているが、 それができないという場合、 その最大の理由は、同時に複数の事柄に注意を払えないため、 つまり視線と話の内容の両方に同時に注意を払えないためであると 私は思う。 このようなことを書くと、話しているとき相手の目を見ることなど 無意識にできるとの批判がありそうだが、 例え意識にのぼらないことでも、脳は注意を払っていると思う。 意識することと脳が注意を払っていることは同じではない。 このことは、脳が同時に複数の事柄に注意を払えない ということを考えるうえで、重要なことだと思う。 |