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自閉スペクトラム症、社会性の障害、DSM-5

1 :管理人:2021/03/14 ??:??:??

自閉スペクトラム症の社会性の障害とは
他者への「興味」「コミュニケーション」「理解」の困難と
「社会的規則」を理解し守ることの困難に分けて考えるとよいと書いたが、
このことを、DSM-5の自閉スペクトラム症の診断基準の
社会的コミュニケーションの障害の部分と比較して考察する。


A.複数の状況で社会的コミュニケーションおよび対人的相互反応における
持続的な欠陥があり、現時点または病歴によって、以下により明らかになる
(以下の例は一例であり、網羅したものではない)

(1)相互の対人的-情緒的関係の欠落で、
例えば、対人的に異常な近づき方や通常の会話のやりとりのできないこと
といったものから、興味、情動、または感情を共有することの少なさ、
社会的相互反応を開始したり応じたりすることができないことに及ぶ

(2)対人的相互反応で非言語的コミュニケーション行動を用いることの欠陥、
例えば、まとまりのわるい言語的、非言語的コミュニケーションから、
アイコンタクトと身振りの異常、または身振りの理解やその使用の欠陥、
顔の表情や非言語的コミュニケーションの完全な欠陥に及ぶ

(3)人間関係を発展させ、維持し、それを理解することの欠陥で、
例えば、さまざまな社会的状況に合った行動に調整することの困難さから、
想像上の遊びを他者と一緒にしたり友人を作ることの困難さ、
または仲間に対する興味の欠如に及ぶ


※カプラン臨床精神医学テキスト日本語版第3版P1296より


(1)の社会的相互反応を開始したり応じたりすることができない、
つまり自分から他者に話しかけるなどをしたり、
相手から話しかけられるなどをされても応じない、
ということは主に「興味」の困難である。
(3)の仲間に対する興味の欠如も「興味」の困難。
さらに(1)の他者と興味、情動、感情を共有することの少なさも、
他者とそれらを共有しようと自分から他者へ接触を図るということが少ない
という面を見れば「興味」の困難となる。

(1)の通常の会話のやりとりができないことのうち、
自分が言語を正常に使用できないという面、
(2)で書かれていることにおいて、自分が、アイコンタクト、身振り、表情などの
非言語的コミュニケーションを使用することの欠陥は
「コミュニケーション」の困難になる。

他者への理解に関して、他者のことを頭で理解することと、
他者に共感すること、つまり相手が楽しそうにしていれば自分も楽しくなるということ、
この2通りの理解があると前提しているであろうことに注意が必要である。
(1)の通常の会話のやりとりのできないことのうち相手の言葉が理解できないという面、
(2)のうち、相手の非言語コミュニケーションが理解できないという部分は
「理解」の困難となる。
そして(1)の他者との興味、情動、感情の共有の少なさの、
他者と接しているとき、相手の興味、情動、感情に共感しないという面を見れば
共感としての「理解」の困難となる。

(3)のさまざまな社会的状況に合った行動に調整することの困難さは
「社会的規則」を理解し守ることの困難である。
(1)の対人的に異常な近づき方は社会的規則を守ることができない例である。

残りの(3)の想像上の遊びを他者と一緒にすることの困難さ、
友人を作ることの困難さは、
社会的コミュニケーションの障害の結果起こる事柄である。
そして、例えば友人を作ることが困難なのは、他者に対する「興味」が少ないからか、
興味はあり他者へ接触を図るが適切な「コミュニケーション」ができなかったり、
他者を「理解」できないために相手から嫌われるなどして作れないのか、
「社会的規則」を守れず、相手を怒らせたりして作れないのか、
おそらくこれらが複数混ざり合って作れないのである。
社会性の障害の結果として起こることを、社会性の障害の例として診断基準とするのは
私は不適切と考える。


以上より

他者への興味の困難
・他者から接触があっても応答しない
・他者に自ら接触しようとしない
・他者と興味、情動、感情を共有しようとしない

他者へのコミュニケーションの困難
・言語を正常に使用できない
・非言語コミュニケーションの使用の欠如

他者の理解の困難
・相手の言葉が理解できない
・相手の非言語的コミュニケーションが理解できない
・相手の興味、情動、感情に共感しない

社会的規則を理解し守ることの困難
・さまざまな社会的状況に合った行動に調整することの困難さ


と分けることができるだろう

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 ブログ用phpファイル 最終更新日 2017/09/20 管理人作